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インテリアコーディネーター名鑑 interior coordinator directory
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インテリアコーディネーター掲載者詳細
小寺 裕美Hiromi Kotera
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〜自身の生活体験から健康、自然素材、バリアフリーへの関心を深めました。〜
商 号
(有)エイエムティ設計室
住 所
川崎市麻生区王禅寺東3-3-36
TEL
044-955-9195
FAX
044-767-8044
営業時間
AM10:00〜PM6:00
 住まいに関する仕事は、生活体験、人生経験がそのまま次の仕事に生かされる有難い仕事だと感じます。私自身の住まいに係わる体験から、住まいに対する考え方のベースをお話したいと思います。

健康的で心安らぐ空間作り

 30代の子育て真っ最中の頃、1歳の子供がアトピー性皮膚炎になりました。
リビング兼ダイニング、廊下、階段、2階の個室すべてにカーペット敷きこみの建売住宅でした。急遽、リビングと廊下、2階の寝室を合板のフローリングに変更すると、空気も清浄になり子供のアトピーは治まりました。子供が2人になり、毎日遊びまわるリビングの合板のフローリングは劣化がひどく、張り替えることになり、温水の床暖を入れた上に、栗の無垢板をはり自然系の塗料を塗りました。無垢板の足ざわりは、夏はべとつかず、冬はひんやり感がない素材です。木は表面に細かい穴があいている素材なので、空気を含み断熱材の役割も持っているからでしょう。その反面、反ったり目地が透いたりというトラブルも起こるのですが、我が家の場合、冬の床暖時に板の目地が大きい所で2ミリ位開きますが、梅雨時には跡形もなくピタリともとにもどっています。2階に子供部屋がある子供たちも冬は床暖のあるリビング兼ダイニングに集う時間が長く、囲炉裏テーブルをかこんだソファーは家族の団欒の場として定着しています。
写真のリビングは以前、建売として購入当初、目がチカチカするような白いビニールクロスが壁、天井にはられた箱の様な部屋で、門から玄関に向かう通路から丸見えになる落ち着かない部屋でした。
玄関の位置を移動し、LDの位置に落ち着きを持たせると共に、ハイサイドライトやFIX窓からの採光を取り入れ明るさを確保し、外とのつながりが感じられる木製デッキをサンルームの外に設け広さを演出しています。
玄関の上がりかまちや柱に無垢の角材を用いて、家の中に小さな自然の息吹が感じられるようにしました。この木たちは、経年変化によって味わいが増しましたが、少しねじれたり割れたりして生命の力さえ感じさせます。ねじれや割れを防ぎたい時は、よく乾燥させた上質な木を使えばリスクは少なくなりますが、あまり人工的な乾燥をかけると、風合いがわるくなり強さも低下するといわれています。無垢の木をインテリアとして取り入れる場合は、断熱性、通気性等の実質的な性能の面も評価して、反ったり動いたりする木の性質をよく理解して頂けるようご説明し、木の持つ利点を生かして使って頂きたいと思っています。
木を土壁と共に用いると更に効果的です。現代の暮らしの中に日本古来からの伝統の技を生かした建材を取り入れ、より質の高い住空間を創っていきたいと思っています。
建売りを買入し必要に迫られてやらざるを得なかったリフォームでしたが、外壁を一部分壊す工事をした時に、耐震上重要とされる壁の合板が、湿気と熱で老けていて、手でちぎれる程劣化していたことを知りショックを受けました。それは私の家造りの考え方に多くの示唆を与えてくれました。
日照を感じられない寒いキッチンは、日々食事を作る者にとって悩みのタネです。食事を作るということは命をつなぐための重要な営みです。高齢化する社会の中で、健康でいる時間を長くするために、食事作りの時間を快適にする環境作りは、老後の住まい作りのポイントの1つと言えます。

終の住まいを愉しく

 ご高齢の方や、まだ若年でも障害を持った方の住宅を改修する仕事が続いた後、実家の父が脳梗塞で車椅子の生活になり、実家をリフォームすることになりました。最後まで自宅で暮らしたい、施設に入りたくないという母の希望も後押ししました。
介護される方も、介護する方も高齢なので、機器の扱いのわずらわしさを軽減する為に、あえて段差解消機は採用せず、道路から家の床の高さまでの段差をスロープで解消し、車椅子用の玄関に導き、室内用の車椅子に乗り換えるという方法を選択しました。
その替わり浴室ではリフトを用い、入浴時の介護者の負担を軽減し安全に入浴できる事を第一に配慮しています。それぞれの生活シーンでの車椅子による移動、ご本人がご自分でできる動作、介助を受けながらできる動作、介護者の動作、体力や体格による個々の違い、ご家族の意向に細かく配慮して対応しプランします。
バリアフリーとは、心のバリアフリーでもあると捉えています。
建物の段差をなくす、体の状態に建物の方を合わせるという物理的なバリアフリーだけでなく、ご高齢の方、障害を持った方とご相談を受ける側が、同じ高さに立ち同じ目線を共有して考え、ご提案することを心掛けています。
在宅介護を支えるには、ケアマネージャー、ヘルパー、医師、看護師、理学療法士、作業療法士等、多くの方々との連携や支えがなくてはなりません。粘り強く橋渡しをし円滑に生活が営めるようにすることも大切な仕事です。
愉しく暮らすには、物との付き合い方を、上手にすることが大事です。
付き合い上手になる秘訣は、(1)適材適所の収納を設ける (2)まとまった納戸スペースの確保 (3)(そこからはみ出した物はレンタルスペースに預けるか、外の防湿物置に保管、あるいは処分 (4)処分の方法を具体的に確保…と順序立てて物を整理し、物を手放す仕組みつくりをすることで物の滞りを防ぎます。(1)〜(4)のどこか一箇所でも滞りがあると、いつの間にか物が床を占拠することに。何かを見直すチャンスです。
最近、恩師に協力して取り組み始めた物件は、古民家の修復再生と伝統工法での新しい住宅づくりが同時進行しそうなエコロジーな企画です。
健康的で骨太な伝統工法での家づくりに真剣に取り組む職人さんの仕事と、エコロジーで長持ちする丈夫な家を求める人たちのニーズを結びつける架け橋としてお役に立ちたいと思っています。
【Profile】
昭和30年群馬県沼田市生まれ。中学までは鎌倉市、高校以降成人するまで千葉市に住まう。中央大学経済学部を卒業後、外資系企業勤務の後、結婚、出産。30代は2人の子供の子育てと水を汚さない石鹸を普及させる環境運動ボランティアの事務局。40代になり、専業主婦の時期に体験した住に関する不足の思いを解決すべく、インテリア、建築の資格を取り、家具屋、地元ゼネコンリフォーム部、設計事務所等を経て独立。より自然で健康的な家づくり、日本の風土に合った家づくりがフツーの事として実践されることを願っている。伝統工法で建てられた古民家の調査及び歴史と暮らしについて、そこに暮らす人たちに語ってもらう学習会をNPO法人で企画。訪れた市民に静かな共感を頂いている。
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