間違いだらけのバリアフリー正しい知識と親身な対応を
Q 他の業者の新築住宅やリフォーム物件を手直しされることも多いそうですね。
A 建築の専門家もバリアフリーの知識は乏しく、施主の要望に対応できなかったり、誤った対応をしてしまうことが非常に多いのです。例えば下の「オフセット手すり」の例は、近所の大工さんが手すりの用途を知らず、取り付け方を誤ってしまったケースです。
Q 他にどのような?
A ありがちなのが、「お施主様の言う通りに施工してしまう」というケースです。
Q 希望通りでは不都合が生じますか?
A 先日直面したのは、歩行困難な高齢者の住まわれるご家庭で、部屋間の高さ28pという段差が危険なことから、工務店に依頼したところ、施主様の希望のままに長さが1m20pというスペースに、スロープをつけてしまったというものです。高齢者や障害者には恐怖を感じる急勾配のスロープになってしまいました。本来は踏み台と手すりで解決できた問題でした。
Q 大手住宅メーカーも十分な対応ができないとか。
A 住宅メーカーは標準的なバリアフリー仕様を超えた個々のケースへの対応を敬遠する傾向にあるようです。右上のアプローチの手すりのケースも、施主が安全性の高い手すりへの交換を希望したところ、オプション工事になるので非常に高価になってしまうとやんわり断られたそうです。大手企業は結局のところ効率を追求するので、個々の対応はおろそかになりがちなのだと思います。
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高齢の奥様がパーキンソン病を発症。ご主人が介護に当たっている。従来のトイレの使い勝手が悪く、ご主人が自身で手すりを設置するなどしたが不十分で、改修を希望された。パーキンソン病は1日の間でも症状の変動があり、昼間は自力歩行、夜間は車椅子で利用できるトイレの改修が必要であった。出入口は段差をなくしたうえに、車椅子で出入りできる広さをとり、アコーディオンドアを使用することでさらに有効な間口を広げた。自力歩行の際の手すりも適切な位置に設け、両手でつかまって立ち座りするための手すりは、跳ね上げ式として車椅子利用時の邪魔にならないようにした。